屋久島の概要
屋久島は鹿児島県佐多岬の南端から、海上60Kmにそびえる周囲132Km、面積504Km2の九州最高峰、宮之浦岳(1935m)を中心とする丸い形をした山岳島です。その重なり合う山々は海岸からそそり立ち、黒潮で運ばれてきた温暖多湿の海風がぶつかると、上昇気流となって多量の雨を降らせ「ひと月に35日雨が降る」とまでいわれています。また、海面から2,000mの高低差は、熱帯魚が泳ぐ海岸沿いの平地から北海道なみの山頂へと植物の垂直分布を見ることができ、この島独特の森林生態系を展開しています。
現在、世界自然遺産に登録されており、森林資源を次の世代に受け継ぐため、厳しい自然環境の保全がなされております。
屋久杉の概要
屋久杉は、屋久島の標高500mあたりから、1,700m近くまで生育している天然杉です。「屋久杉」という呼び名は屋久島に自生している杉の総称です。地元の人は、樹齢千年をこえる杉を「屋久杉」、これより若い杉を小杉と呼んでいます。
花崗岩の隆起によって誕生した屋久島は、巨大な岩の塊です。表土の少ない山で屋久杉は、岩の割れ目や砂礫に根をはわせています。保水力の無い岩石地帯は水を好む杉にとって適した環境とはいえません。しかし、屋久島の場合、雨として絶え間なく水が供給されています。屋久杉は、若木のときには密度の高い自然林で日照が不足し、高木になると激しい台風で多くの枝葉を失います。この様な厳しい条件できわめてゆっくり育ちます。つまり、成長の遅い屋久杉は年輪がつまっており、樹脂分が多く腐りにくいので長生きします。(普通の杉の6倍以上も樹脂分を含んでいる)
屋久杉の本格的な伐採は島津藩時代からで、当時は、山の中で割加工しやすい部分をとるため、2〜3m程のところからなたで切り、平木と呼ばれる板に加工して人が山奥から背負って搬出していました。樹脂分を多く含む屋久杉の平木は、腐りにくいということで屋根を葺く板や樽用の板として用いられていました。現在は、当時利用されなかった根株や放置された幹の部分が「土埋木」と称して衝立、応接台、飾り棚などに利用されています。山の中に200〜300年放置されても腐らずに残された材料は色艶が違い大変貴重な材料です。また、過酷な自然を、千年以上もの長い間耐え抜いた生命力は、屋久杉独特の年輪が深くきざまれており、笹目、虎杢、玉杢など独特の持ち味を醸し出しています。
|